ひつじの

リハビリをしながら生活しています。

Syrup16gのライブに行ってきた@NHKホール

7月8日と9日、2日連続で行ってきましたとも。

完全主観の上、記憶違いの部分も多々あるかと思いますが、ご了承くださいね。

 

 

シロップでNHKホールっつーと、生還してない私にとってはENDROLLなわけで、因縁ですね。あの日以来、他の人のライブでも来てなかったですしね。

忘れもしないよ。大阪のENDROLL行ったんだよ。すごい良かったんだよ。サポートギターなしの3ピースでね。こりゃ東京も行くしかねえなと思って、自分でも驚くほどの行動力を発揮し、必死でチケット譲ってくれる人を探して、幸運にも、とても優しいお姉さんが丁寧にお手紙付きで譲ってくれて、良いライブになるぞって思ってたら、武道館で解散するよって言われて、家までどう帰ったか覚えてないもんね。ずっと泣いてた気がする。

それがもう7年以上も前だっつーんだから恐ろしいですよ。

大人になるよ、さすがに。丸くなるよ。

「こんな気持ちは自分だけなんじゃないか」と自意識過剰な自己愛に塗れた時代にもさよなら。<人は一人 逃れようもなく だから先生 クスリをもっとくれよ>とか言ってらんないですよ。こっちは毎日の飯を作るのに必死だからね。

まあそういうのはいいとして、シロップを見るのは、武道館以来なわけで。楽しい気持ち半分、再開したいほどのバンドってどんなもんなんだよって上から目線が半分。

結論から言うと、すっごい楽しかった。

なんだありゃ。超楽しいじゃねえか!

こんな日が来るなんて思ってなかった。シロップのライブが楽しいと思えてるんですよ、ニコニコなんですよ。どうした?って感じなんですよ。

シロップのライブって言ったらみんな死んだ顔して突っ立ってお葬式なのがデフォじゃなかったんです???

 

 

 ちょうど19時になったくらいのタイミングでSEが途切れ、お?来るか?みたいな雰囲気になり、野太い声のお兄さんがフライングで叫んだんだけど再びSEが流れるという微笑ましい光景のあった1日目。

2日目はカメラが入ってましたね。DVDになる、んだよね?ね?

この2日目の席、ENDROLLのときと席が同じでね。どういう偶然なんだろうと笑っちゃった。あの時はボロボロで帰ったけど今日が楽しいのは昨日を見てるから知ってるぞと余裕の表情です。

そうこうしてる間にパッと客電が落ちたと思ったら

『お、お、あ、あ、え。 お、お、あ、あ、え。』

とsonglineが流れて。抱えたカバンを床に置いて、いそいそと立ち上がるわけです。

幕がぶわぁっと上がりまして、そこに3人がいる。バックには黒に白字で『Syrup16g Tour 2015 Kranke』とか投影されている。

ぶわっと鳥肌が立った。7年ぶりの光景。

五十嵐が人差し指立てて掲げている。なんだこれは。

 

『冷たい掌』スタートの本編。変拍子なので乗り方が分からずゆらゆらしながら聴く。以前よりも歌が格段に上手くなってる、声が若返っていることに驚く。

カウントを取って音を支えながらもグイグイ引っ張っていくたいこ氏に、じっくり音を聞きながら、時折五十嵐のほうを向いてバンドをまとめていくマキリン

これが見たかったんだ、こみ上げるものをぐっとこらえる。

『生きているよりマシさ』はサンバーストのストラト(私初めて見た)に持ち替えて。このサンバーストちゃんは他の曲でもちょいちょい出てきてましたね。再発の時はどうだったんでしょうか?いたのかな?

どういう使い分けだったのかが気になります。音的にどうかとか、そのあたりのことをじっくりと聞く余裕なんかなかった、楽しすぎて覚えてない。次回は楽しみながらも少し冷静に見て聞いてきたいな。

『To be honor』はイントロのアルペジオもそうだし、歌いだしのピッチもなんだか不安定で、マキリンのベースにかなり支えられていた気がする。

まだまだ暖まらない前半に美メロ曲。曲の勢いで押し通すこともできず聞かせにいかないといけないので、張りつめてるなあという感じ。ちょっと勿体なかったような。会場の雰囲気もまだ解れてなかったし。それに引っ張られたのか『HELPLESS』のイントロとちるしね。クスクスって笑いが起きてたんだけど、そういうのちょっと苦手だ、私。

『HELPLESS』はCDよりもかなりスピードアップしてバンド感マシマシで良い感じでした。続く『Stop brain』もガッと攻撃的。マキリンの指使いったら堪らないものがありますね・・・「このギター、カポの上とか下とか行ったり来たりで結構複雑なことしてんのね」って旦那さんが嬉々として語っていたので、多分そうなんでしょう。

  『My Song』と『明日を落としても』はセットリストのしっとりゾーン、泣かせるゾーンです。アコギですのでね、良い曲っぷりが一層際立つ。

両日ともに『明日を落としても』の出だしで言葉に詰まる瞬間があり、この曲の持つ重たさを再認しますね。いや、ただのミスかもしれないけど。

曲が終わり、拍手したら良いのかどうなのか、圧巻と戸惑い、両方の余韻を残したまま『正常』へ。

ただただ「うわああ」とステージに意識を向けるしかできず、圧倒される。たいこ氏もドカドカ叩きながら何やら叫んでいる。一体指はどうなってんだと言いたい程のマキリンの超速弾きに唖然としながら、絶え絶えな五十嵐の声を聞く。皮膚の表面がひりひりしますね。

 

1日目は 「緊張してます(苦笑)。2日間もやらせるのがおかしい!今日が千秋楽のつもりで、喉がつぶれるとか明日があるとかそんなこと気にしない」とある意味開き直りのMCを経た後から、格段に雰囲気が良くなった。

とても不思議なようですごく納得してることなんだけど、ライブって一方通行じゃなくて、演者と客のエネルギーの循環なんだろう、と。行ったり来たりしながらうまく回ってる感じ。

 五十嵐は、隠そうとすると逆に失敗する人に見えるから、どんどん正直に開き直ってほしい。

シロップのファンって、この辺の、心の機微というか、自然を取り繕ってる不自然さに敏感な人がすごい多い気がして、緊張してたら緊張してる、失敗したなら失敗したって言ってくれちゃったほうが嬉しいんじゃないかな、とかとか。

MCを境に、ガラッと雰囲気が変わったのがとても印象深かったです。客席の上に「ほっこり」って文字を載せてもいいくらいのほっこり加減。

 

1日目の日替わりは『Everything is wonderful』、<奇妙な黄色い糸 手繰り寄せると>で奇妙な黄色い色になる会場。さっきまでの緊張感はどこに、安定感のあるプレイ。

この日替わり曲、大阪では『シーツ』だったんだって?悔しいわ。

『月になって』とか・・・あるかな・・・と思っていた東京2日目は『負け犬』でした。左手が怪しい感じだったけど、声の伸び具合が素晴らしかった。いや、マジでどうした?

<程なく人生を そつなく終えれば ヤクザも官僚も ロックのロクデナシも みんな負け犬でしょう>

<ねぇ どう 僕はこう 君はそう それはどうでしょう>

一言一言を丁寧に突きつけられ、圧巻のパフォーマンスでした。

 

グルグルと円が回る照明で酔いそうになりながら『吐く血』。これはキー上げてたのかな?テンポ速かったからかな?こんなんだっけ?と思いながら、懐かしのナンバーですね。違う聞こえ方がするというのはライブならではであり、今のシロップを大いに感じさせてくれました。ありがとう。おうおう、バンドがやりたいんだな、分かってるぞ。

『Share the light』は赤い照明をバックにAメロのギターユニゾンパートをきっちり弾き切る五十嵐。練習したんだなあ・・・などとしみじみする暇も与えず、ただただカッコいいのである。こういう赤一色の照明も、どこか懐かしい。ついでに、この曲はSG61' reissue。私、SGの音好きだから嬉しい。(3ピースバンドのSGって見た目的にも最強だと思うんですよ)

勢いを殺さないまま『天才』。<おいっ!>って叫んだところで涙がちょちょ切れる。叫ばない天才の時期を思い返す。『真空』の<ろっくんろおおおおる!>も、分かってても腕上げちゃうんだよね。そういう、定番の持つエネルギーを感じる2曲。

 『パープルムカデ』も『神のカルマ』も、あんなに聞き飽きたって思ってたのに、いざ演奏されちゃうと・・・びくんびくん・・・ってやつです。

2日目の『神のカルマ』は、滾ってしまったのか、五十嵐がステージセンターにまで出てきて、ギターヒーローごっこですよ。かっこいいじゃんね?これ、間違いなくかっこいい。会場もわーっとなっている。しかし、歌い始めギリギリまでセンターにいたためか、焦ったのでしょう、出だしの歌詞をスポーンと飛ばしておりました。

言わんこっちゃない・・・

かっこつけようとするとミスっちゃうがっちゃん、それすら「愛しい」で片づけようとするファン。

いや、ミスなくやってくれるのが一番なんだよ。でも今は、バンドもお客さんもみんなシロップを楽しめばいいじゃない!と心の底から思っているよ。

 

1日目には「感謝の気持ちです」と言葉を添えた『Thank you』は「ふぅ~~う~う~う~~うぉお」といきなりコーラス部分を独唱しだし、続くリズム隊も謎アレンジというか、四つ打ちっぽい。どんどんどんどん、ずんずんずんずんって感じの。

なにこれだっせえ・・・って思ったんだけど、そういうダサさもいいかな、いいかも。『Thank you』良い曲だなあ(しみじみ)。

 

アンコールの拍手の揃いっぷりに定評のあるシロップファンですが、みなさん良くも悪くも自意識過剰なのでしょう。同調圧力というやつでしょう。

良き方向に流れれば拍手が揃い、悪き方向に流れれば「地蔵」となるのでしょうね。

先日、人生初の「ぎっくり」を患いました私、座席の有難味を噛みしめながらパンパン手を叩いていますと、再び現れる3人。

で、でたー!患者T着奴!!!マキリンはジャケ写T)

2日目にはたいこ氏が立ち上がってダブルピース、大きな声で「ありがとう」「楽しい」とかなんとか叫んでいたような気がします。よく聞き取れなくて・・・これはDVDを待ちたいところ。

先ほど座席の有難味を噛みしめたばかりではありますが『vampire's store』はもどかしくなりますね、ライブハウスで見たいわあ。是非とも。

『落堕』はギターの音に若干の違和感、はて・・・と思っていますとついに弾くことを放棄するでしょう。まあ、こういうこともあるよね、とマキリンを見やりますと、首吹っ飛んじゃうんじゃないかなってくらいにプルプルされているのです。さすが「スーパーベーシスト」ですね。スーパープレイです。

 

アンコールが終わっても拍手は鳴りやまず、ちらっと腕時計を見ると21時まで少し時間があったので、これはダブルの予感!と思ってたら再び現れる3人。

「さっきのアンコール、落堕って曲でチューニング間違ったままやっちゃうでしょう?何年も休んでるとこうなっちゃうんですよねえ」と、この開き直りっぷりですよ。それでいい、それで。というより、ここが解散後一番の変化な気がする。

そして「これからはこうならないように続けていきます」と前向き発言。「日々の積み重ねが大事ってことで」と『生活』を披露、しみじみしますね、重みが違いますよ。(しょうもない話をしながらもきちんと次の曲に繋げるMCをする五十嵐氏はやはり頭の回転が速い、速すぎる人なんだろうなあ・・・と思ったエピソードでした)

続く『リアル』は歌いだしからドラムが入るまでに数秒の空白があるんですけどね。その間に「たいこおおおおおぉぉぉおおおっ!」って叫んだお兄さんがいて、声が消えた瞬間にどかどかドラムが入るという、見事に奇跡的なタイミング。これがかっこよすぎて鳥肌ぶわあ!って。お兄さんGJ、友達になってほしい。

折れかけたのか、途中で自分の手でボキっとスティックを折るたいこ氏に、プルプルしてるマキリンに、五十嵐も叫びまくっている。それぞれのエネルギーがグルグル渦巻いている感じ。

終わるなぁああああって叫びたいくらいだったけど、<妄想リアル もっと SO REAL>と五十嵐が叫び終え音が消えた瞬間に、得も言われぬ満ち足りた気持ちになって、笑顔で拍手ですわ。

こんなに楽しかったことなんてない、これがまだ明日もあるなんてどうしようって興奮気味で帰宅したのでした。

 

 

2日目の話。

アンコールで患者Tの五十嵐とたいこ氏、そして医者と書かれたTシャツを身にまとうマキリン!会場はこの日一番の大歓声です。

「患者は嫌だったんだって(笑)」とマキリンを指しながら五十嵐、「スーパードクター」とたいこ氏。

続いて「お医者さんから」とマキリンにMCを振り、遠慮気味に片手をひょいと上げるマキリン、「ありがとうございました」と一言。

マキリンが喋ったあぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!!!!!1

さらに、阿鼻叫喚の会場の声にかき消されるように「お大事に・・・」とボソボソ付け加える。

「え?ちょっと待って!>>マキリンが何か言ってる」と客席が急に静まり返ったのを「(コソッと)ちょっと滑ったね」と五十嵐がドヤ顔でいじる。

全然滑ってないよ!みんなマキリンの声が聞きたくてシーンとしちゃっただけだよ!全然滑ってないよ!!

そこからの五十嵐は余裕の表情、会場もとても和やかムード。

『coup d'état』から『空をなくす』の流れを挟んで個人的にも最高潮です、思わず腕も上がります。飽きるほど聞いてきた定番の流れがとても楽しい。私と同じようにわーっとなって腕を上げている他のお客さんに心強い気持ち。

「いやぁ、(ツアーが)終わってみると楽しいですね!」と爽やかな笑みを浮かべて、ペットボトルをストローでちゅうちゅうしやがって。「関係ない話していいですか?」とかまた空気読めないこと言って!たかし!!

「友達いないから話す相手いなくて」と、わざわざ付け加えるあたりに自分が好きすぎて逆に卑下したい歪んだ自己愛を感じる。

昨日の疲れと興奮で寝付くに寝付けずうとうとしてたら小動物と優しいお姉さんが入り混じるお花畑な明晰夢を見ちゃってずっとここに居たいと思ったんだってさ。でも途中から怖くなって、「このままじゃ死ぬと思って」頑張って起きたんだってさ。

そんで、頑張って起きて良かった、ここにいるほうが何倍も楽しい、「また来てね!」だってさ!

やっぱり楽しいんじゃねーか!!!!

そして最後は『Reborn』。

<時間は流れて 僕らは歳をとり 汚れて傷ついて 生まれ変わっていくのさ>

ほんとそう、ほんとそうだよ・・・たかしは良いこと歌うなあ・・・と感極まって泣いてしまったよ。

何回も読み直してきた歌詞が、間違いなく本当のことを歌っていて、自分と重ね合わせて、泣いてしまったよ。

 ほんと、生きてるほうがいいよ。時間が流れたら色んなことがあるけど大体結果オーライだから。

 

 このSyrup16gというバンドに対しては簡単には言い切れぬ様々な思いがあるわけですけど、語るほどに痛くて笑えない感じになるので、ここまでに。